頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛などの“頭痛という病気”である一次性頭痛と放っておくと怖い二次性頭痛に分かれます。
【二次性頭痛】
くも膜下出血、脳血管解離、脳出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、髄膜炎など
【怖い二次性頭痛の特徴】
・ある瞬間に突然おこる頭痛
・今まで経験したことのないような激しい頭痛
・日を追うごとに強くなる頭痛
・脱力、しびれ、ふらつき、言語障害などの神経症状を伴う頭痛
・めまい、嘔吐を伴う頭痛
・50歳以降に初発の頭痛
・がんや免疫不全をお持ちのかたの頭痛
など
一次性頭痛の診断は怖い二次性頭痛でないことの確認が必要です。
拍動性の頭痛で、吐き気、嘔吐、光や音に過敏になるのが特徴です。前兆として閃輝暗点といってギザギザした光が見える方もいます。仕事や日常生活への支障が大きく、寝込んでしまう方も多くいます。主にトリプタンという片頭痛専用の薬や通常の鎮痛薬、吐き気止めなどを組み合わせて治療します。頭痛の頻度が高い方は予防薬を投与します。最近はCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)関連抗体薬が使用可能になりました。
後頭部~首すじ中心に圧迫感、締めつけ感のある頭痛です。両側性で、生活に支障の出るほど強くなく、日常動作で悪化しないのが特徴です。通常吐き気はなく、光や音に敏感になることはありません。
身体的、精神的ストレスが原因になることが多く、生活環境・習慣の改善も大切です。
激しい痛みが片方の目の奥から側頭部にかけて起こります。涙や鼻水が出たり、結膜充血、まぶたの浮腫、発汗などを伴います。発作頻度が高く、夜間に多い、連日起こるといった特徴があります。スマトリプタンの自己注射、酸素吸入、カルシウム拮抗薬(ベラパミル)などで対処します。
頭痛薬を飲む回数が増えてしまい、それを継続的に服用している(1ヶ月に10日以上、薬により15日以上、3ヶ月以上にわたり使用)ことにより生じる頭痛です。原因薬剤を中止し予防薬を服用、適切な服薬をすることが重要です。
単に“めまい”といってもグルグル回るめまい、ふわふわするめまい、すーっともっていかれる様なめまいなど様々です。平衡機能に関係するところに障害が起きると人はそれをめまいとして感じます。大まかに分類すると、①末梢性めまい(耳に原因:良性発作性頭位性めまい症、前庭神経炎、メニエール病、突発性難聴など)があるもの、②中枢性めまい(脳に原因:脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など)③その他のめまい(貧血、自律神経失調症など)に分けられます。
多くは末梢性めまいですが中には危険な中枢性めまいのことがあります。しっかり歩けない、ろれつが回らない、顔面、手足の感覚がおかしい、ものが二重に見えるなどの症状を伴う時は迅速な検査が必要です。
これらは認知症のサインです。症状が軽いうちの早期発見、早期対応が重要です。
認知症の中ではアルツハイマー型認知症が最も多く、脳梗塞や脳出血が原因となる脳血管性認知症が次いで多い認知症です。ほかにはレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。また治療可能な正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏症などの場合もありますので早めに受診しましょう。
感覚受容器→末梢神経→脊髄→脳への感覚を伝える経路のいずれが障害されてもしびれは起こります。
問診、神経学的診察、MRI検査で障害部位を診断します。
手根管症候群、足根管症候群、肘部管症候群、糖尿病性神経障害など
変形性頸椎症、頚椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアなど
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など
運動の指令は脳→脊髄→末梢神経→筋肉へと伝わり実際に手足が動きます。
この経路のどこかに障害があると脱力が生じます。
原因は様々で、問診、神経学的診察、MRI検査を含め総合的に診断します。
歩行は運動神経(錐体路)、感覚神経、錐体外路、平衡機能、小脳の運動調節機能を総動員して行われる繊細かつ高度な運動です。小刻みにしかあるけない、足を左右に開かないとバランスがとれない、片方の足が出にくい、歩けるがよく躓く、片方に寄っていってしまう、勢いがつくと止まれなくなるなど歩行障害のタイプ、原因も様々です。まずは受診してください。
パーキンソン病や本態性振戦は薬の効果がなく、症状がひどい場合は収束超音波治療や脳深部刺激療法などの選択枝もあります。
神経調節性失神、心原性(不整脈など)、起立性低血圧、てんかん、心因性などが原因として考えられます。
てんかんの場合、MRIで脳に異常が発見される場合があります。
遅発性外傷性頭蓋内出血といって、受傷後しばらくして頭の中に出血が拡がる場合があります。
次のような場合は注意が必要で、受診をお勧めします。
【慢性硬膜下血腫】
頭部打撲から1~2ヶ月経って脳と硬膜の間に血がたまる病気です。高齢の方は若い方に比べ起こりやすく最近増加傾向です。手足の麻痺や言語障害、認知機能の低下等が現われ、けいれんを起こすこともあります。治療は穿頭術(頭蓋骨に1円玉くらいの穴を開け、溜まった血を外に出します)が基本です。血腫が少ない場合は薬による治療になることもあります。