遅発性外傷性頭蓋内出血といって、受傷後しばらくして頭の中に出血が拡がる場合があります。
次のような場合は注意が必要で、受診をお勧めします。
頭部打撲から1~2ヶ月経って脳と硬膜の間に血がたまる病気です。ご高齢の方は若い方に比べ起こりやすく最近増加傾向です。手足の麻痺や言語障害、認知機能の低下等が現われ、けいれんを起こすこともあります。治療は穿頭術(頭蓋骨に1円玉くらいの穴を開け、溜まった血を外に出します)が基本です。一般的には回復が良い病気で、何事もなかったように元気になられる方がほとんどです。しかし重症の方、全身状態の悪い方などは必ずしもそうとは限りません。血腫が少ない場合は手術をせずに薬による治療になることもあります。
脳に強い外力がかかり、頭蓋内に出血や脳挫傷がなくても脳機能の障害を起こす状態です。意識消失があることはむしろ少なく、頭痛、ふらつく、ぼーっとする、考えがまとまらない、霧がかかったように見える、食欲がない、不安感、不眠などの症状が続きます。多くは数日~10日程度で回復しますが、なかには数週間持続する方もいます。症状がある間は無理をせず安静を保ちましょう。短期間に続けての頭部打撲は重症化する場合があり、アスリートの場合は症状がなくなった後に約1週間かけて段階的に競技復帰します。本格的なスポーツをやっている方はこれに準じて徐々に運動を再開しましょう。