頭痛は、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの“頭痛という病気”である一次性頭痛と放っておくと怖い二次性頭痛に分かれます。
病歴聴取、神経学的検査、MRIなどの画像診断で二次性頭痛をしっかりチェックすることが重要です。
くも膜下出血、脳血管解離、脳出血、脳静脈洞血栓症、脳腫瘍、急性水頭症、可逆性脳血管攣縮症候群、髄膜炎、慢性硬膜下血腫など
片頭痛
ズキン、ズキンとした拍動性の頭痛で、吐き気、嘔吐、光、音やにおいに過敏になるのが特徴です。前兆として閃輝暗点といってギザギザした光が見えた後に頭痛が始まる場合もあります。動くと頭痛が悪化し、仕事や日常生活への支障が大きく、寝込んでしまう方も多くいます。天候の変化、睡眠不足、生理、アルコール、ストレス、ストレスから解放などにより誘発される場合があります。頭痛が起こった時は主にトリプタン製剤という片頭痛専用の薬や通常の鎮痛薬、吐き気止めなどを組み合わせて治療します。狭心症や心筋梗塞、脳梗塞がある方にはラスミジタンという血管収縮作用のない薬が使えるようになりました。頭痛の頻度が高い方はバルプロ酸やアミトリプチリン、ロメリジンなどの予防薬を投与します。それでも予防効果が乏しい方にはCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)関連抗体薬を検討します。注射薬で通常月1回行います。高額なのが難点ですが有効性は高いお薬です。
緊張型頭痛
圧迫感、締めつけ感のある頭痛です。両側性で、生活に支障の出るほど強くなく、日常動作で悪化しないのが特徴です。通常吐き気はなく、光や音に敏感になることはありません。診察では頭蓋周囲筋(後頭部、首筋の筋肉、側頭部の筋肉など)の圧痛がみられることがあります。
通常の鎮痛薬が効果的ですが頻度が高く慢性化することがあり、その場合少量の抗うつ剤、抗不安剤、筋肉弛緩剤などを併用します。身体的、精神的ストレスが原因になることが多く、生活環境・習慣の改善が大切です。ストレスマネジメント、リラクゼーション、同じ姿勢を取り続けることを避け、定期的にストレッチ・体操を行うようにしましょう。
群発頭痛(三叉神経・自律神経性頭痛)
激しい痛みが片方の目の奥から側頭部にかけて起こります。涙や鼻水が出たり、結膜充血、まぶたの浮腫、発汗などを伴います。発作頻度が高く、夜間に多い、連日起こるといった特徴があります。発作中は落ち着かなく、歩き回ったりします。治療はスマトリプタンの自己注射、酸素吸入、カルシウム拮抗薬(ベラパミル)などです。
後頭神経痛
ズキンとした電気は走るような短時間の痛みが何回も繰り返す頭痛です。肩こり、首のこりが原因になることが多く、大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経などが刺激され神経痛を生じます。時には帯状疱疹が原因のこともあり、皮疹が出ていないか確かめることが大切です。
通常の鎮痛剤で痛みの頻度は収まりますが、しつこい場合はカルバマゼピンやプレガバリンなどの神経痛用のお薬を使用します。多くの場合は1週間程度でおさまります。
薬物乱用頭痛
鎮痛薬を飲む回数が増えてしまい、それを継続的に服用している(1ヶ月に10日以上、薬により15日以上、3ヶ月以上にわたり使用)ことにより生じる頭痛です。原因薬剤を中止して頭痛予防薬を服用(あるいは注射)、適切な服薬をすることが重要です。